MTF分析編① 結果と予兆
今回は「MTF分析編」。
WTFとは「マルチタイムフレーム」のことで
時間足ごとにサイズの違う波を
複合的に分析する、という
今までしつこく言ってきたアレです。
これまで複数の記事で
考え方を紹介してはいますが、
実際のチャートに当てはめるには
かなりの練習と慣れが必要です。
「MTF分析編」では
実際のチャートを使って
MTF分析の具体的なやり方を
ご紹介していきます。
まずは環境認識。
下の日足チャートを見てください。
パッと見て分かるように
日足は現在上昇トレンド中です。
緑でなぞったラインがいわゆる
「日足の波」ということになります。
5月の末に押し目買いされ
勢いよく上昇し、
「2002年の高値」に到達しました。
2002年高値は月足チャートを開かなければ
わからないラインですから「月足のライン」
ということになります。
要は「強そうなライン」というわけです。
最新の日足ローソクの1つ前の
ローソクが大陽線となり
2002年高値を超えました。
その大陽線を打ち消してしまう
大陰線が翌日に確定しています。
2002年高値という強いラインでの
利益確定や逆張りの売りが入ったのと、
FOMCが絡んだ値動きでもあります。
日足チャートを見て分かることは
そのぐらいでしょうか。
続いて4時間足チャートに切り替えます。
日足チャートと同じく
かなり勢いのある上昇トレンド中です。
4時間足の波はオレンジでなぞりました。
2002年高値まで急上昇し、
そこで勢いが弱まりもみ合いに。
結局、この時は2002年高値を超えられず
押し安値まで急落しています。
押し安値を下抜けていないので
上昇トレンドは継続中です。
4時間足チャートを見て
分かることはそれぐらいでしょうか。
次は1時間足チャートを見てみます。
2002年高値からの下落により
押し安値を下抜けてしまいました。
1時間足の波はムラサキです。
デイトレードでは
この紫の波をターゲットに
トレードをするのが基本です。
日足、4時間で読み取った情報と
ムラサキの波を照らし合わせて、
この後の値動きを想定してみましょう。
トレードプラン①
まず1つは「戻り売り」です。
2002年高値という強いラインから
下落してきており、加えて
前日の大陰線確定という事実があります。
「戻り売り」なので、
ムラサキの波の「節目」あたりまで
戻ってくるのを待ちたいところです。
トレードプラン②
別の値動きも想定しておきます。
前日の下落が強い勢いだったので
戻らずに下がっていく可能性もあります。
売り注文を入れるタイミングですが、
前日の安値辺りは、オレンジの波の
押し安値でもありますから
少なからず買い勢力による
「反発」の値動きがあることでしょう。
その反発の値動きによって、
レンジやダブルボトムの形成が始まり、
「それらが崩れたところ」で売りたいですね。
なんのプライスアクションも起こさず
そのままの勢いで急落してしまうと
エントリーは出来ません。
トレードプラン③
売り注文に囚われすぎず
買いの方のプランも想定しておきましょう。
日足、4時間足ともに上昇トレンドです。
前日に急落したとはいえ
4時間足オレンジの波の押し安値は
下抜けていません。
とはいえ、前日大陰線に対する
戻り売りは無視できないので、
戻り売りが入るも
売りの勢いが続かず、
安値を切り上げて
ダブルボトムになれば
買ってみようと思います。
トレードプラン④
また、前日の下落要因には
FOMCによる値動きがあります。
FOMCの議事要旨発表による
一時的な下落に過ぎない可能性もあり
戻り売りが入らないパターンも
考えられます。
上位足の上昇背景が強く
現在値からFOMC高値まで買われ、
売り勢力の反発による
レンジやダブルトップの「崩れ」を
確認出来たら買ってみたいところです。
これでトレードプランもOKです。
あとは当日の値動きを眺めながら
想定したプランに当てはまる値動きを
下位足でエントリーしていくのみです。
下のチャートは15分足チャートです。
黄色でなぞったラインが15分足の波です。
東京時間、値が戻っていきました。
黄色い波が押し目買いされながら上昇。
FOMC高値を目指すかどうか、
という辺りでダブルトップを完成させます。
この動きを見て青〇で売りエントリーです。
狙うはトレードプラン①の値動きです。
前日安値で利益確定でもいいですが、
ムラサキの波の戻り売りを想定するなら
安値更新は実現しそうです。
キリ番などわかりやすいレートでの
値動きを注視するか、
「ピンバー」のような反発のローソク、
15分足のMAの上抜き、
などを確認するまで保有するのもアリです。
結果としては、
かなり勢いの強い下落となり
日足の波の「節目」付近まで下落しました。
以上がこのトレードの全貌です。
チャートの未来の値動きは
結局のところ誰にも分かりません。
予め値動きを言い当てることは
できませんし、
当たったからすごい
外れたからダメ
という話ではないんです。
どんな値動きになったとしても
結果論でしかないわけです。
かといって、値動きの「結果」が
わかってからのエントリーでは遅いですし、
単に買いか売りかに山を張ってトレードするのは
ただのギャンブルです。
必要なのは「結果の想定」と
「結果が実現する予兆」です。
結果の想定とは、つまりは
トレードプランの策定です。
大事なのは、理にかなった値動きを
数パターン想定できることです。
理にかなった、とは
「可能性がある」ということです。
「可能性がある値動き」は
適切な環境認識ができなければ
わからないことです。
そして「予兆」とは
下位足のチャートパターンのことです。
「予兆」の確認をもって、
「想定の実現」にお金を掛けるのが
上手なFXトレードなのです。
道端で立ち止まっている赤の他人が
いつ歩き出すかわかる人はいません。
でもそこが信号機のある横断歩道なら
「信号が青になること」が
「予兆」になります。
よそ様の家に干された洗濯物も
「雨が降り出せば」
取り入れられるかもしれません。
公園にいるハトも
「子供が駆けよれば」
飛び立っていくことでしょう。
不確実なことが、
高確率で起こるところ。
それを探すのがFXという
ゲームの攻略法なんです。