環境認識編④ 斜めに引くライン
これまでは、水平にラインを引くことによって
環境認識をしてきました。
水平にラインを引くということはチャートの横軸、
つまり「価格」にラインを引くということですが、
今回は斜めにラインを引いてみます。
チャートの「形」に引くラインなので、
どうしても引き方に個人差が出がちですがうまく使えば、
押し目買いや戻り売りに使えたり、
トレンドの動き出しを捉えたり、
波の軌道を予測したりできます。
トレンドライン
斜めに引くラインの代表的なものといえば
トレンドラインです。
トレンドラインは、以下のようなラインです。
赤マルの位置で何度も反発しているのが分かります。
このようにトレンドラインとは、トレンドを「支える」ラインです。
「ここまで下がったら買いたい」「次もこの辺りから上がるだろう」という
相場心理から生まれます。
その心理が生まれるのは、「視覚的に」ラインが見えるからです。
逆に言うと、2点の押し目がないと斜めのラインは引けません。
ですから、実際にトレンドラインを活用できるのは
3点目以降ということになりますね。
また、上昇のトレンドラインを下抜くことにより、
買っていたトレーダーの決済注文の売りなどで
値が下がり出すきっかけにもなります。
他にも定番の値動きとして、
一度下抜いた上昇トレンドラインに
値が戻ってきたときに、今度は上値の抵抗として
意識されることがあります。(青マル)
下降のトレンドラインも見てみましょう。
きれいにライン上で反発していますね。(青マル)
下降トレンドラインを上抜けた後は、
少し時間は経過していますが
これ以上下がらないことが確認され
上昇が始まりました。(赤マル)
ただし、水平ラインと同じく注意したいのは
上昇トレンドラインにしても下降トレンドラインにしても、
ラインを過信しないこと。
ラインまで来たから即エントリーではなく
「下位足の値動きを見て」ということを
忘れずに。
チャネルライン
トレンドラインと似たラインですが、
波の「幅」を可視化するために
チャネルラインというラインを引くこともあります。
波は常にジグザグしながら動きますが、
だからこそ波には「面」ができるんですね。
その面、幅をあらかじめ予測するためのラインがチャネルラインで、
チャネルラインは平行な2本のラインから成り立ちます。
次のチャートを見てください。
下から上昇した波が戻り高値を上抜き、最高値が確定した場面です。
この戻り高値、または押し安値を抜いて、最高値(最安値)が確定したタイミングが
チャネルラインが引ける最速のタイミングです。
まず上のチャートのように、戻り高値と最高値を結ぶラインを引きます。
そしてそのラインと平行なラインを最安値から引きます。
すると以下のチャートのようになります。
これでチャネルラインの完成です。
「この上昇波はこの幅で動きそうだな」というラインです。
安値側ラインに近づけば買われやすいですし、
高値側ラインで売られやすいです。
「次に本格的に下がり出すのは安値側のラインを下抜いた後かな」
という考えをもってトレードに臨むこともできます。
トレンドラインは2回の押し安値が確定した後でないと引けないので、
それに比べるとチャネルラインは引けるタイミングが早いです。
では、このあとのチャートの動きを見てみます。
高値側、安値側でそれぞれ反発していますね。
その後、ダブルトップになって下降トレンドが始まりました。
安値がはっきりしたらチャネルラインが引けます。
安値側のラインと平行なラインを高値側に引きます。
(青チャネルライン)
きれいなダブルトップからの反転の場合、
ネックラインの部分からラインを引くと
いいラインが引けることが多いです。
チャネルラインを引くことで「波の幅」が可視化されます。
波の幅がわかると、現在値が「高いのか」「安いのか」がわかります。
高値掴み、安値掴みをして損切になることが多い人にはオススメです。
上位足に引くチャネルラインは、
エントリーに使うラインというよりは、
過度なトレンド継続の期待を防いだり、
利益確定に使ったり、
という使い方が合っていると思います。
その他の斜めライン
トレンドラインやチャネルライン以外にも、
斜めのラインを有効に使えることがあります。
以下のチャートを見てください。
緑の波が上昇から下降に転じていく場面ですが、
調整波にオレンジの斜めラインを引いています。
斜めのラインを抜けてから値が伸びていくことがよくわかりますね。
推進波を狙うトレーダーにとっては視覚的にも分かりやすい値動きです。
トレンドの調整波は、
トレンド継続勢力 と 利益確定・逆張り勢力 が攻防する
レンジである、という見方もできますから
斜めのレンジの「レンジブレイク」が発生しているということですね。
また、調整波の部分を拡大してみると
下位足ではトレンドが発生していたりもします。
ですから、上のチャートのオレンジの斜めラインは
下位足のトレンドラインだったりするわけです。
いろんな立場のトレーダーが、同じラインに注目していることで
注文が集中しているということですね。
今回は斜めに引くラインをいくつか紹介しました。
どの斜めラインにも共通して言えることですが、
決まった「価格」に引く水平ラインとは違い
斜めラインにはどうしても「個人の主観」が入ります。
完成したチャートにラインを引くのは簡単ですが、
リアルタイムのチャートに引こうとすると案外難しいものです。
適当な高値や安値をラインでつなぐだけで
それらしいラインが引けてしまいますから。
自分に都合の良いラインを引いてしまいがちで、
それを頼りにトレードをするとあっさりと負けてしまいます。
水平ラインを含む他の根拠と併用したり、
上位足の波、下位足の波も考慮し
「そこにラインを引く意味」をよく考えて引く必要があります。
まずは水平ラインでの環境認識に重点を置き、
慣れてきたら水平ラインを補完する形で利用するのが
いいのではないでしょうか。
いずれにしても、使いこなすには練習や検証が必要です。
「自分の経験」として斜めラインの使いどころが肚に落ちた時、
絶大な効果を発揮するでしょう。